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雪月花【鬼滅の刃/短編/R18】

第3章 治療【宇髄天元】




「…不死川。こいつこんなニブチンだぞ?それでもいいっつうのか?」

「あァ?…仕方ねェだろォが。なっちまったもんはァ」

「派手に開き直るんじゃねぇ。否定しろよ」

「円華さんも本当に仕方の無い方ですねぇ」

先程までの重い空気はないが、私が状況を把握出来ないまま、三人だけが分かったような会話が飛び交う。

そんな中、宇髄さんが徐に私の頭を搔き撫でた。

「わっ、う、宇髄さん!そんな撫でたら髪乱れちゃう!」

「あからさまに落ち込んでっから慰めてんだよ。…胡蝶。こいつに免じて出禁は無しでいいよな?」

「…貴方がそれを言いますか? …はぁ。ま、今回は仕方ありませんね。あくまでも円華さんに免じてです。…不死川さんも傷の経過は円華さんにお任せしますので、後日いらしてください」

「…あァ」

私の横に立つしのぶさんは宇髄さんへ怪訝な視線を向け、深い溜息を漏らしながら二人に念押しする。
宇髄さんはすっかりいつもの調子だし、しのぶさんも額に浮き出てた青筋も無くなり、不死川さんは落ち着いてる時は案外静かだったりする。

結局喧嘩の原因がはっきりしないまま置いてけぼりを食らってはいたけど、しのぶさんに申し出を受け入れて貰えた事に、ほっと胸を撫で下ろすと同時に頬が緩んだ。

大好きな彼と三ヶ月も会えないのは、きっと私の方が持たないだろうから。
そう思っていた分、安心しきって油断した。

不意に、崩れた髪を直していた大きな手が後頭部に添えられ引き寄せられた。

「…え? ──っ!」

唐突に唇に伝わる温もりと、切れ長の赤い瞳が視界いっぱいに飛び込んだが、直ぐに離れた唇の温もりと言葉にならない驚きの中、私はハッとした。
ゆっくり視線を泳がせると、一際大きく目を見張ったしのぶさんと、また不機嫌そうに眉間に皺を寄せた不死川さんを捉える。

ウソ…っ、今、口吸いされた…?…二人の前で!?

今この場にはその二人も居るわけで、あまりに意を突かれた行為に唖然としてしまった。





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