第3章 治療【宇髄天元】
急な出禁宣言に思わず胡蝶を凝視する。
三ヶ月出禁?
冗談じゃねぇ。ただでさえ任務続きで会えなかったっつうのに。
蝶屋敷に住んでる円華に会うには俺が来るか、円華が俺の屋敷に来るかのどちらかだ。
医療班と討伐班の両方で動く円華。後者はほぼねぇ。
「何か不満ですか?私の優しさで三ヶ月で済ませようとしましたが、短いですか?そうですか。でしたら一年「いや、それはもっとごめんだわ」
考えるよりも先に手を前に押し出し、同時に胡蝶の言葉を遮った。
不死川もバツが悪そうに黙りやがるし…。
「し、しのぶさん、あの…不死川さんの傷も深いので後日経過も見たいですし…、宇髄さん、とは、そのっ…会える機会も、…少ない、ので…」
だが、意外にも胡蝶を止めたのは円華だった。
二人は年齢こそ同じだが、胡蝶は柱という立場。
その上官に対して物言うのはいいが、後半は細々と声も小さくなり、耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
円華は無意識に人を垂らす。現に不死川がそうだ。
「……貴女も罪な方ですね?まぁ、そもそも円華さんが原因なんですけどね!」
胡蝶に言われた言葉に驚きを隠せない円華。その後、眉を下げたり、青ざめたりと、表情がコロコロと変わる。
胡蝶のやつ、余計な事を…。あの顔、楽しんでやがるな。
ま、恥ずかしがり屋の円華が、ああまで言ったんだ。
今回は俺らの方が悪い。
素直に胡蝶に謝罪を申し入れようとしたが、それは叶わなかった。
それは円華がこれでもかって程、頭を下げたから。
「宇髄さん!不死川さん!ごめんなさい!私が文句垂れたり、意見しちゃったから…、お二人とも怒ってたんですよね…?本当にごめんなさい!」
「「……」」
…いや、例えお前が悪かったとして、それが何で俺と不死川の喧嘩の原因になるってんだ?
全く見当違いな謝罪をする円華に空いた口が塞がらない。
だが円華は、俺らが黙っちまったせいで、眉を下げて半べそかき始める始末。
横目に視線を向けると、怪訝そうな表情をした不死川と視線がかち合い、肩を竦めて見せた。
そらそうなるだろ?円華はそういう奴だ。そこが可愛いほどにな。