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貴方とかくれんぼ[ky]

第6章 隣のゲーム実況


 そうして、キヨさんのゲーム実況を隣で見ながら色々話を聞いてみると、どうやらこの世界? では、キヨさんはYouTuberでもゲーム実況者でもなく、大学に通っている学生ということらしい。
 前まで北の国の方にいたけれど、大学に通うために思い切って家も買って住んでいたところ、私が母と一緒に隣に引っ越してきたみたいである。キヨさんとは引っ越しの挨拶の時に私と出会ったらしい。私には全くそのような記憶はないのだけれども、ここが今本当の世界なのかどうか、私にはどうでもいいことだった。
「だけど、キヨさんの大学は?」
 行かなくてもいいの、と聞いてみたところ、大学はしばらく夏休みだとのこと。大学は夏休みが長いんだって。そういえば私の学校も、もう少しで夏休みだったかも。
「ユメ子ちゃんは? 学校どうなの?」
 私が大学の話を聞いたからだ。この話の流れは普通なのだろう。だけど私は答えたくなくて俯く。するとキヨさんがそうかと呟いた。
「まぁ、色々あるよな。俺もそんなに勉強好きじゃなかったし」
 とキヨさんはパソコンのゲームを操作する。私はそんなキヨさんの横顔を見つめた。
「聞かなくていいの? 私、学校行ってないから悪い子なんだよ」
 私が、ずっと思っていたことだ。
 キヨさんは手を止めて、私と見つめ合う。そこには怒りや悲しい顔ではなく、ただきょとんとした顔がそこにあった。
「行きたくないなら行かなくていい。俺もよくサボるからな」
「そうなの?」
 思わぬ返事に私が戸惑いながら。
「そーそー、行きたくないのに無理して行ったら体壊すし」
「体……」
 キヨさんのその言葉を聞いて、私は寒くないのにゾッと寒気がして両腕をさすった。ただ一瞬そうやっただけなのに、キヨさんが私の様子に気付いて再びこちらに視線を向けた。
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