第24章 給食
「え」
とびっくりしている間に、私は気が付いたら席に座っていた。一瞬にして切り替わった場面。がやがやとした教室で、エプロンを身につけているクラスメイトが何人かいた。みんなトレーに何かを乗せて席についた。本当に給食時間になったみたいだ。
「さぁ、皆さん、残さずしっかり食べましょうね。農家の人たちも給食の人たちも、たくさんの人たちが一生懸命作ったものですから……」
と先生が話しているのを横に、私は自分の机にあるものを見て言葉を失っていた。給食だというのに、こんなことがあるのだろうが。
梅干し。一個だけ。
しかも異様にデカイ梅干しが私の机の上に一つ。だけどみんなは平気な顔して食べている。私だけがおかしいの? どうしてみんな、平気なの……?
「ユメ子さん、どうしたのですか? 食べないといけませんよ?」
「で、でも……」
梅干しは苦手だ。酸っぱいところが、果物と違って美味しくない。でも私は、食べたくないという言葉が出てこなかった。
「ユメ子さん、食べなさい!」