第22章 対峙
「まだ立てるのか!」
キヨさんは私を庇うように立って後ろからやって来る赤い化け物を振り向いた。あの両耳の大きな化け物は倒れたままだったが、もう一体の口だけ化け物が、見たこともない程大きな刃物で床に何度も叩きつけた。怒っているみたいだった。
「ユメ子ちゃん、先に部屋から出るんだ!」
目の前のキヨさんにそう言われ、私もそうするべきだとは思った。思ったけど、体が動かなくて私はドアノブを捻ることすら出来なかった。
ダン!
赤い化け物がもう一度刃物で床を叩いたのち、キヨさんに飛びかかっていった。
「キヨさん……!」
私は悲鳴を上げるばかりで何も出来ず、思わず、顔を両手で覆った……。