第18章 寝言
「うーん……」
気がつくと私は自分のベットの上にいた。よく見慣れた天井と布団。そして。
「わ、キヨさん……?!」
キヨさんは床で寝っ転がっていた。私は急いでベットから下りてキヨさんを揺さぶると、何か寝言を言っていた。
「ユメ子ちゃん……」
寝言でも自分の名前を呼ばれて、私はちょっと嬉しくなった。キヨさんの夢の中にも私がいるのかな。
「キヨさん、朝ですよ〜?」
今度は優しくさすって呼び掛けると、キヨさんがようやく目を開けた。最初は寝ぼけていたけれど、私と目が合うとがばりと飛び起きて肩を掴んできた。
「ユメ子ちゃん、大丈夫?!」
「う、うん、だいじょうぶ……」
キヨさんの圧にびっくりしながらも私がそう答えると、良かった〜とキヨさんはその場に座り込んだ。
それからキヨさんは辺りを見回して、いつも通りの私の部屋だと確認する。何も壊れていないし汚れてもいない。赤い化け物も、多分いない。
ただ不思議なことに、寝る前までは置いてあったはずのアロマポットとおにぎりがなくなっていた。そして、護身用に置いてあった箒もない。それらを見る限り、私たちの答えはある一つに絞られた。
「寝る前と夢の中のもの、繋がっているものがある……?」
私がそっと言ってみると、キヨさんもそうかもなと頷いた。
「クローゼットとテーブルはあるけど、なくなっているものもある。ってことは、寝る前に何か置いておいたら、何か助けになるかもな」
「また、怖い夢見る……?」
「うーん……」
私の質問に、キヨさんは難しい顔をした。
それもそっか。大人は、子どもの私にいっぱい隠し事するもんね。仕方ないことだよね。
「とりあえず、なんか便利そうなもの置いておこうぜ……って、その前に飯か! どうする? ユメ子ちゃん」
「ちょっと食べる」
お腹は空いていた。私はキヨさんと一緒に、リビングへ下りた。