第16章 再び
「うーん……」
ベットで寝ていたはずが、なぜか床で寝ていたと気付く。
体を起こすと自分がいつの間にかパジャマに着替えていた。キヨさんが着替えさせてくれたのかな、と周りを見てぎょっとした。
また、あの怖い夢の中だ。
机もテーブルもベットもボロボロで、至るところに赤い何かが飛び散っている。不思議なことにテーブルの上にはアロマポットと皿に乗せたおにぎりが乗っていて、寝る前の記憶がそのまま夢の中に反映されていた。でも肝心の、箒がない。
唯一の武器がないということが分かってハッとする。あれ、キヨさんは……?
「キヨさん……?」
今度こそ置いていかれたのか。私が発した声は震えていた。隠れるところなんてそんなにない部屋の中で、私はキヨさんを探す。
そんな時、ふと、唯一綺麗なクローゼットに目がついた。昨日の夢の中でキヨさんと一緒に隠れたところだ。もしかしたらここにいるのかも。私はわずかな希望でクローゼットへ手を伸ばした……。
ガチャ!