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貴方とかくれんぼ[ky]

第13章 香り


 そうして私は、キヨさんと一緒に部屋に戻ってゲーム実況を見ることにした。それでも時々、ユメ子ちゃんもやってみなよとキヨさんが言うので、席を代わってゲームで遊んでみることもあった。パソコンでゲームすることはなかったから、難しかったけど、キヨさんと一緒なら楽しかった。
 お昼頃になると、ちょっと休憩するとキヨさんが部屋を出て行った。だから私も少し違うことをしようとベットの横に置いたランドセルに目がついた。ランドセルの中身は見なくても、あの日のまま、時間が止まっている。
 私はこのまま、時が止まったらいいのにと一瞬でもそう思った。お母さんがいないのはちょっと寂しいけど、キヨさんと二人暮らしするのも悪くないと思ってきたからだ。
 でもいつかは、キヨさんも学校に行けって言うのかな……。
 間もなくして、キヨさんが部屋に戻って来た。それからキヨさんはクローゼット開けていいかと聞いてきた。
「いいけど……」
 なんでだろう? 私はキヨさんの考えが分からなくてキヨさんを目で追った。クローゼットはあの夢の中と同じ、扉のすぐ横にある。キヨさんはそのクローゼットを開けて何かを取り出した。
「あ、あったあった」と言いながら、キヨさんはテーブルの上にアロエポットを置いた。「これ、使ってみたらいいんじゃないか? 怖い夢も見なくなるかもだし」
「見なくなるかな?」
 キヨさんの提案に、私はわずかな希望を感じて顔を上げる。キヨさんは首を傾げた。
「まぁ分かんないけどな、やってみようぜ」
「うん……」
 本当にこんな物で怖い夢を見なくなるのかな、と不安になりながらアロマポットにスイッチを入れた。アロマの香りがふわりと広がって、私は自然と深呼吸をした。
「加湿効果もあるんだって。ちょっとは具合もよくなるかもな」
 アロマポットの説明書を見ながらキヨさんがニカリと笑う。ずっと心配してくれるキヨさんの優しさが本当に嬉しかった。
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