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貴方とかくれんぼ[ky]

第12章 まるでリアル


「やっぱ、まだ具合悪いか。スッキリしたか?」
「うん……」
 本当はまだスッキリしてはいなかったけど、心配かけたくなくて私はなんとかそう言った。
 それから私は、歯磨きをしてどうにかスッキリしようとはした。だけど気にするとまた胸が苦しくなってモヤモヤする。私はぎゅっと目を瞑る。今日は早めに寝た方がいいのかな……。
 そう思った瞬間、あの赤い化け物を思い出してもうあんな怖い夢は見たくないと思う。何も考えたくなくて顔を洗って急いで洗面所から出ると、キヨさんがキッチンに立っていた。
「今日どうする? 朝飯、食べれそうか?」
 とキヨさんが鍋を手に取った。何を作るんだろう。お腹は空いているのに食べたくない。食べたくないって言ったら、怒られるかな……。
「俺、適当に作って食ってるから、食いたくなったら言ってな。その時作るから」
 そう言って、キヨさんが何かを作り始めた。ゲーム実況者さんもご飯作るんだ。私はソファに座ってキヨさんがご飯を作り終わるの待ってようと思ったけど、大きな音が聞こえて振り向いた。
「ごめん、鍋落としちゃった。びっくりさせちゃったよね」
 私はキッチンを覗き込む。空の鍋が床に落ちていただけだけど、手伝った方がいい気がした。
「手伝う?」
「え、いやぁ、でも具合悪いし……」
「これくらいは大丈夫」
 簡単なことは前にお母さんから教わっていたから一緒に料理を作ることにした。といってもレトルトのご飯をお湯で温めて、お茶漬けを作るだけだったんだけども。キヨさんは普段、自分でご飯を作ったりしないみたいだから、結構オロオロしていた。
 あんなにゲーム上手なのに、ちょっと不器用な面が見られて嬉しかったり。
 そうしてキヨさんがお茶漬けを食べ終わるまで、私はぼんやりとテレビを見ていた。テレビにはアロマポットのCMが流れていた。確か、癒し効果があるとかなんとかでお母さんが買ってくれたことあったっけ。
 お母さん。思い出してリビングを見回す。綺麗に整ったリビングはいつもお母さんが掃除をしていたからだ。今はどこに行ったんだろう。私を置いて、隣人さんと一緒に留守なんか頼んで。
 お母さんも私のこと置いて行ったりしないよね?
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