第11章 かくれんぼ
クローゼットの中は、不思議とズタボロになっていない私の上着と荷物で窮屈だった。背の高いキヨさんの方が絶対大変なのに、口を開くと「大丈夫か?」「狭くないか?」と聞いてきて優しさがありがたかった。
だけど今更、こんなクローゼットに隠れても良かったのかな、と私は不安に思った。その上着、いつ洗濯したんだっけ。汗臭くないかな? 泥とかついていないかな?
バタン!
そう考えている内に、真横の扉が勢いよく開いた。クローゼットの隙間から、赤い影と大きな刃物がチラチラと見える。私は声が出ないように思わず自分の口を両手で覆いながら、その時を待った。
赤い影は、しばらく部屋の中を歩き回っていた。何を探しているのか……それとも、私たちを探している……?
分からない恐怖はますます心臓をうるさく動かして私は目を強く瞑った。早くどこかに行って……そう思うばかりの数分間。
バタリ……赤い影が扉から出ていく音が聞こえた。同時に、すぅっと深く息を吐く。本当は数秒の間だけだったかもしれないのに、長く感じる時間だった。
「……行ったよな?」
声をひそめて、キヨさんがそう言う。私は頷いた。
「多分……」
私はいつもこうやって赤い化け物とやり過ごす夢を見ていた。だから大丈夫だと思いたい。
「よし、じゃあ出るか」
「あ、私も……」