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貴方とかくれんぼ[ky]

第10章 恐怖


「ひっ……」
 私はさらに強くキヨさんの腕を引っ張った。といっても私の力からしたら全然弱いのか、動じる様子なく扉の方を見た。
「これは、明らかに様子がおかしいよな」
 とキヨさんは言って。
 だから私は、あの扉から赤い化け物が来るんだとなんとか説明してみた。信じてもらえないと思ったけど、キヨさんはすんなりと頷いた。
「そうか、じゃあどうするか」
「私の話、信じるの?」
「信じるよ。ユメ子ちゃんの話だからな」
「でも、今度こそ化け物じゃないかも……」
「念の為になんかした方がいいだろ?」
「そっか……」
 とキヨさんは私を横に連れたまま部屋の中を見て回った。テーブルの足がなくなっていて倒れそうなこと、クローゼットに穴が空いていること、ベットもズタボロなのも確認した。だから私は聞いてみた。
「何を探しているの?」
「隠れられそうなところを探してるんだ。ホラーゲームではよくあることで、大体こういうのは隠れるもんなんだよ」
「そうなんだ……」
 そこで私は、前に見た怖い夢も、隠れてやり過ごしたことを思い出す。あんなに怖かったのに、夢の内容だけぽっかり忘れていたんだから本当に恐ろしい。
「あ、ここはどうだ? ここは壊れていなさそうだし」
 とキヨさんが指したのは部屋に備えついている方のクローゼット。向こうのクローゼットは穴が空いているから、こっちの方が安全そうには見えた。
「じゃあここに入っててな。俺は別のところに……」
「嫌だ……」
「え」
「嫌だ、一緒に隠れよ」
 一人にしないで欲しかった。
 キヨさんは少し考えたみたいに黙っていたけど、すぐには分かったと一緒にクローゼットの中に入ることにした。
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