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貴方とかくれんぼ[ky]

第9章 一緒に


「ここ、私の夢の中なの……?」
 ようやく言葉を口にした私の声は、震えていて小さかった。けど私を支えたままのキヨさんは小さい声でもよく聞こえたみたいで、多分なと話を続けた。
「こんな部屋、明らかにおかしいし。スマホだって圏外になってるんだ」
 ほら、とキヨさんは私にスマホ画面を見せてくれた。そこには電波がないことを示すものがあった。
「パソコンもこんなに壊れてるし、どことも連絡出来ないんだよな」とキヨさんは冷静だった。「最初、ユメ子ちゃんが寄りかかって来たからさ、あ、寝たんだなぁと思ったんだよな。そした俺も寝ちまったのかなぁ……分かんないけどさ」
 さて、とキヨさんは立ち上がった。私はキヨさんから離れたくなくてずっと腕にしがみついたままだったが、突き放そうとすることなく、背中をさすってくれた。
「まずは探索してみるか。どうにかして脱出しようぜ」
 とキヨさんはいつも通り話すので私は少し不思議だった。
「キヨさんは、怖くないの? ここ、絶対変だよ」
 キヨさんを動かしている勇気はなんなんだろう?
「ホラーゲームで見慣れたからかなぁ。こういうのはよく見てきたんだ」と言って、キヨさんは私に笑ってみせた。「大丈夫大丈夫。きっとなんとかなるって、俺がいるからな」
 さり気なく言った言葉。でもそれが、とても心強かった。
「でも……」
 もしここが、私がよく見ている夢の世界なら。アレがどこかから出てくるはずだ。私はキヨさんから全然離れられなかった。アレが来る気がして……。
 ドンドンドン!
 予想していた通り、扉を激しく叩く音が部屋中に響いた。
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