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貴方とかくれんぼ[ky]

第9章 一緒に


 キヨさんの声はうるさくないのによく通るし、喋りも面白いからずっと笑っていられた。これならずっと起きていられるかも、と思っていたのに。
「うーん……」
 私は気付いたら床に寝ていて、隣にいたはずのキヨさんもいなくなっていた。私は飛び上がった。
「キヨさん……?」
「ん? どーした? ユメ子ちゃん」
 呼び掛けてすぐに、背後から声が飛んで来て振り返る。そこにはベットに腰を下ろしてスマホを弄っていたキヨさんがいたのだ。
 良かった。キヨさんは、いきなりいなくなったりしないんだね。
 とホッとしたのも束の間、踏み出した足元からぐちょりと音がして下を見た。どす黒い液体が広がっていて、私は悲鳴をあげた。
「ひぃっ」
 驚いた弾みで足がもつれ、そのままキヨさんに向かって倒れ込んでしまった。キヨさんは私より何倍も背が高いから、おおって言いながら支えてくれた。
「にしてもユメ子ちゃん、いつもこんな夢を見ていたのか」
 とキヨさんに言われて私は辺りをよく見てみる。周りはどう見ても私の部屋だったが、明らかに様子がおかしい。壁紙が剥がれ、棚や机はズタボロだ。そして私が見たどす黒い液体が、至るところに飛び散っていてそれがなんなのか考えたくなかった。
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