第8章 もしも夢の中で
私たちはその後、適当なものを注文して部屋で食べた。一人で部屋にいたくなかったから、配達した人が来た時はキヨさんの後ろをついて行って玄関で受け取りを待っていた。
それからご飯を食べている時も、キヨさんはよく喋っていたから楽しかった。話題と言ったらずっとゲームの話だったけど、キヨさんは色んなゲームをしているみたいだから、私の知らないものばかりで聞いているだけで面白かったのだ。
「キヨさんは、怖い夢見たりしないの?」
ご飯を食べ終わった頃、私は訊いてみた。もし怖い夢を見た時、何か対策があるのかと思って。
「怖い夢かぁ、最近は見てないなぁ」とキヨさんは言った。「あ、でも昔、よく自分が死ぬ夢見てたなぁ。昔は自分が死ぬとよくないって噂はあったけど、なぁんにもなかったけどな」
とキヨさんは笑って話す。だけど私の中ではますます恐怖だった。
「夢の中で死んだら、私本当に死んじゃうの?」
「噂だよ噂。本当な訳ないって」
キヨさんは安心させるように頭をぽんぽんしてくれたけど、私は不安だった。そんな心の中をキヨさんが見通したみたいで、何か考えたあとこう言った。
「今日はずっと起きてるか? 俺のゲーム実況見てるだけじゃつまんないかもだけど」
「ううん、そんなことない……!」
私はキヨさんの言葉にすぐに首を振った。キヨさんの横で見るゲーム実況は、本当に画面奥で見ていたみたいに面白かったし、ここが本当に夢の中だとは思えなかったのだ。
「ははっ、そーかそーか、なら良かったけどな」
そうして私は、徹夜でキヨさんのゲーム実況を見ることにしたのである。