• テキストサイズ

【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第5章 高架の向こう側



side 蓬莱

胸糞悪い日になった。

久しぶりにきた条からの電話に意気揚々としたのも束の間、今度は喋りたくもない奴と喋らざるを得なくなり、終いにはこの俺に説教をたれてきやがった。


ギリっ…


苛つく事ばかりで下の奥歯は2本欠けた。いや、割れた…


条が獅子頭連に入ったと聞いた3年前から、俺の見ている景色は色を失い、それから何一つ変わっていない。

獅子頭連の兎耳山に惹かれチームに入ったと聞いた時は、頭をぶん殴られたようだった。

ラートルに入らないのは自由がなくなるから、予定に縛りが生じるのが面倒だから…それはそれでいい…条らしいじゃないか、とむしろ肯定的に認識していたからだった。

すぐに俺は条を賭け、獅子頭連に抗争を申し込んだ。
そこで出会った兎耳山は…

想像以上の化け物だった。


力の絶対信仰…獅子頭連。


時が経ち、兎耳山は頭取になり、俺は納得した。
条はきっと、兎耳山の強さに惹かれたのだ、と。

だったらどうする?俺はありとあらゆるチームにケンカをふっかけ、場数を増やした。

もっと強く…もっと強くならなければ…
強くなって、条が選びたいと思える奴に…
入りたいと思えるチームにする。
喧嘩に明け暮れた日々だった。

チームの連中は決して強いとは言えなかったが…
中学の時から俺を慕い、ついてきてくれた連中だった。
強くならないからと簡単に切り捨てられるわけがなかった。


同時に獅子頭連への不信感が募る。


弱い奴を排除し、切り捨てるチーム。
その役割を条がしているのだと聞いた時は耳を疑った。

外見も様変わりし、笑顔も見られなくなっていった条。
兎耳山に屈服したのか…?
あの条が…?自由を好み、縛られるのが嫌いだった条が、そんな奴に付き従っている事が一番の苛つきの原因だった。

そうかと思っていたら風鈴とモメ、チームの雰囲気も変わったと聞いた。久しぶりに会った条は、中学の時の雰囲気を取り戻していた。


「…………」

風鈴とモメた後の変化。風鈴にそこまでの力があったということ。敵チームの雰囲気までも変えてしまう程の影響力。
総代の力…

一つの結論に至る。


梅宮によって、腐敗していた獅子頭連は息を吹き返した。


俺にはそれはできなかった。
/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp