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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第8章 ※歪み



『えっ…あの……』


流石にこの身なりで梅君と話すのは…嫌だ…

『ちょっとトイレに行って…着替えてきます。』

風のように2人の前を通り過ぎ、家に入った。

「何だ、忙しい奴だな…
十亀君、正美さんにお礼伝えてね。世話になっただろうから…」

「……はい、伝えておきます。」

「…………」


「じゃあ…俺はこれで。梅宮、ちょっといい?」

「………」







「まさかとは思うけど、沙良ちゃんにストレートに聞かないよね?さっきまでの事。
もしそうなら止めて。沙良ちゃんのためにも…俺が勝手に悪い事したんだからさ…」

「…お前等の事なんか、初めから聞く気ねぇよ。
今日の話がしたいだけだ。」

「…そっか。」

「十亀。」

「ん…?」

「念の為聞くが…遊びじゃねぇよな?」



鋭く、刺すような瞳。

「…ふふっ、なわけないでしょ。
遊ばれてるのはむしろ俺だよ…」

「…………」


「沙良ちゃんが悪女って事じゃないよ。
わかってると思うけど…人の心って複雑だよね。
ケンカみたいに単純ならなぁ…って、本当…そう思うよ。」

「…十亀。」


「遠藤さーん、俺行きます。また来てもいいかなぁ?何か商店街がすっかり庭になっちゃって…」

「勿論だ。いつでも来てくれ。ありがとうな。」

「おやすみなさい…」







ーーーーーーーーーーーー

「悪かったな、着替えさせて。」

公園までの道のりを、2人でゆっくりと向かう。

『…大丈夫。ごめんね、待たせちゃって。』


お店に来てくれた時の態度や表情が、何となく昼間の梅君とは違って戸惑ってしまう。

「沙良…今日楽しかったか?」


『…っ…すっごく。あんな風に友達に祝ってもらったの、生まれて初めてだったから、本当に嬉しかった、ありがとう。』

思い出すと頬が緩む。

本当に幸せな時間だった。


「沙良が最後皆に打ち明けてくれた事な…
すまん…知ってたんだ。」

『………うん。そうだろうな、って思ってた。』


あの時…

多分梶君も反射で見た時だ…きっと。

「お前がアイツらのこと信用して、大事な事話してくれて…嬉しかったよ。何か、少し前の沙良じゃないみたいだ。」

『…梅君。』


「カッコよかった。見直したぜ。」

ズキンと胸が痛む。

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