【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第5章 高架の向こう側
「梅宮…蓬莱快人に会いに行ったんだって?」
「…っ……何でそれ…」
「快人は俺の友達なんだ…
ごめんね、意地悪く言って。沙良ちゃんから何があったか聞いたよ。
だから俺から快人に連絡したら、梅宮の事言ってた…」
「…そうか…けど明確な返事はもらえなかった。
叶えたい事のために、邪魔はさせないってさ…」
「………俺が話しておいたよ。」
「…え?」
座ってもいい?と確認すると、十亀はテーブル席の椅子に座った。
「梅宮…ちょっと話そう。あ、皆はもう、帰ってくれていいよ。丁度話は終わったんだよね?」
「………」
「そんな怖い顔で睨まないでよぉ、柊。
話するだけだからさ、本当に。」
ニコニコと笑う十亀に、風鈴幹部たちは心配そうにしながらも渋々出ていった。
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「何か頼んでもいい?あ…沙良ちゃんちからラムネもらってくるの忘れたぁ…帰りに寄ろうっと。」
「十亀…話って?」
やたらとテンションの高い十亀を見つめた。
「…快人はもう、沙良ちゃんに手を出したりしないからさぁ、安心してね、って言いたかったんだ。」
「…どうやって信じたらいい?」
そう言うと思ったから来たんだよ、と十亀は徐ろにスマホを取り出した。
「快人にかけるねぇ。」
「………」
すぐさま電話は繋がり、十亀は俺に代わると蓬莱に伝えた。
「蓬莱か…」
"…………"
「この前の話…お前には約束してもらえなかったよな。
だから…十亀の話を鵜呑みにはできねぇ…」
"…遠藤沙良にはもう二度と会いに行かない。…安心しろよ。"
「どう信じたらいい?」
"ったく、ウゼェなぁ…条が言ったからそうするんだよ。"
「人にとやかく言われるのを一番嫌いそうなお前が、そんなに簡単に約束できんのか。…そんなもんだったんだな。お前の叶えたい事とやらは。」
"…俺に説教たれんなよ梅宮…
俺があの女からは手を引くって言ってんだ。はいそうですか、って言ってりゃいいんだよ…"
「そうか…
ならもう一度言う。二度と関係ない人間を巻き込むな。
俺に用があるなら俺に来い。その時は…」
俺はゆっくりと息を吐いた。
「ちゃんとお前を叩き潰すから。」