【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第4章 ※初めて
「梶…今8時半まわってる。どこで何してたんだ。」
「………」
言った方がいいのか…?
けど…なかなか言葉が出てこない。
「俺の家に…沙良がお礼だって飲み物を持ってきて…
そのままずっと…家にいました。」
「何人かいたのか?」
「……俺と…沙良の二人です。」
「梶…アイツ腰でも痛めたのかな?
ずっと屈んでたように見えたけど。」
「…っ……」
目の据わった表情に緊張が走る。
梅宮さんには多分バレている。
俺と沙良がしていた事。
噴き出した汗が冷たい。
「梶…家で沙良と何してた?」
「…家で……」
風鈴の総代からの質問。
嘘偽りなく答えなくてはならない。
「沙良を……」「梶。」
柊さんが口を開いた。
「好きなのか?沙良ちゃんの事。」
口角を上げた、いつもの柊さんが頬杖をつき、俺を見つめた。
「……好きです。」
「そうか。沙良ちゃんはそれ知ってんのか?」
「知ってます。」
「そうか…なら俺らが口出す事ないだろ、梅宮。」
相変わらず、空気はピリついたままだった。
「梶……お前にはガッカリしたよ。」
「……っ…」
梅宮さんの言葉が胸を突き刺す。
「遠藤さんにお前らがしてた事…正直に話せるか?」
真っ直ぐに俺を見つめる梅宮さん。
「それは……」
「何で俺達は沙良と距離を置いてたと思う?
遠藤さんとの約束があったからだろうが。遠藤さんは沙良がお前の家に行く事、知ってたのか?」
「……知らないです。」
内緒にしてくれ、と沙良に言われたのを思い出した。
「親は子供が一番心配なんだ。俺達を信用して研修に行った遠藤さんが、お前らの事知ったらどう思う?順番が違ぇだろうが。」
語気を強めて話す梅宮さん。
「すみません……」
沙良を抱いて浮かれていた。
勿論遠藤さんの事を考えなかったわけではないが、梅宮さんの言う通り、順番は大事に考えなければいけなかった。
「梶…」
目を逸らさず、俺を見る梅宮さん。
「沙良の事、遊びだったら…殺す。」
「遊びじゃないです。」
俺も負けずに言った。
「本気だろうな?」
「本気です。」
「…………」
「…………」