• テキストサイズ

【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第4章 ※初めて



「…なら良し!」

遠藤さんに言えよ、とか、これからの事ちゃんと考えろよ、とか言いながら、梅宮さんは犬にするようにワシワシと俺の頭を撫でた。






ーーーーーーーーーーーー

side 梅宮


「…驚いたな、梶の奴。一番沙良ちゃんに興味なさそうだったのに。
見たか?お前に凄んだ時の表情。アイツ…女の子の為にあんな顔できるようになったんだな。」

「…あぁ、そうだな。」

「いいのか?お前はこれで。」

「…?何が?」

俺を見る柊の顔は、なぜか少し心配そうだった。

「いや…なんでもねぇよ。」


「…沙良が幸せならなんでもいい。
けど…そうだな。」


梶が沙良を守るなら…

そろそろ本気で動く必要がありそうだ。





side  沙良


『…っ…痛……』

シャワーに入ろうと服を脱ごうとしただけで、腰がズキンと痛んだ。

本当は下半身にも、かなりの違和感があった。
梶君が腕を貸してくれて良かった。


『…………』


梶君と…そういう事をしてしまったんだ。
付き合ってなくても…して良かったのかな。

勿論後悔しているわけじゃないけれど、梶君は何故私なんかと…

"沙良…好きだ。"

思い出すと、頬が熱くなる。


いつからだったのだろう…
そもそも本当なのかな?
あの時私が泣き出したから可哀想になって…?

梅君や柊さんと…何を話してるのかな。

考え出すと眠れなくなりそう…

さっさとシャワーに入ってしまおう。



『梅君…顔色あまり良くなかった…』

あんな事があって、梅君のせいでは全然ないのに、もし自分を責めていたら嫌だと思った。
でも梅君はきっと、人一倍責任を感じている。


そんな梅君だから好きになったのだ。


『…けどもう、好きでいる資格ないよね…』


梶君と体を重ねた。

私は梅君の彼女でも何でもない。
罪悪感を感じるなんておこがましいのに、ズキンと胸が痛んだ。

『あれ…何で…』

ポロポロと涙が頬を伝った。


『…っ…痛いから…きっと…』

体が痛くて涙が出るんだ。

痛みの正体を誤魔化すように、シャワーを浴びる。

お風呂場の鏡に映る裸の自分が、知らない自分に見えて、急いで目を逸らした。


今日はもう…寝よう。

熱いお湯で体を洗い流すと、布団に入った。
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp