【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第3章 遭遇
「コイツ……蓬莱!?」
そこには
呆然とした表情で涙を流す、ワイシャツのはだけた下着姿の沙良ちゃんと
沙良ちゃんの体に腕を絡め、胸元に口を寄せるカメラ目線の蓬莱の姿があった。
腹や腕、首には無数の赤い跡がつけられている。
「そんなっ…沙良ちゃん…何で…」
ことはちゃんも写真を見た瞬間手で口を覆い、言葉を失った。
ピロン
再びメッセージがきた。
"梅宮、遊ぼうよ♡
今から指定する場所に一人で来ないと
沙良ちゃん、ホントに食べちゃうからね♡"
「…っ……」
急いで店から出ようとする梅宮の胸ぐらを掴み、体を使って止めた。
「待て梅宮っ…闇雲に出てっても意味ねぇだろうが。頭冷やせって。」
梅宮はハッとして、フラフラとしながらテーブル席の椅子に座った。
「悪い柊…そうだよな…蓬莱の出方待って…
それから…」
グシャリと前髪を掴みながら低い声で言った。
「アイツ殺すか…」
黒目が上下に細かく動き、無表情の梅宮は明らかに普通ではない様子だ。
梅宮の隣に座り、顔を近づけて話した。
「梅宮…落ち着いてよく聞け。
メッセージの文面からして、蓬莱はお前をおびき出す気満々だ。狙いは沙良ちゃんじゃない。お前を動揺させることが狙いなのかもしれない。
奴の術中にハマんじゃねぇ。こんな時こそ冷静にならねぇでどうすんだ。
無理なのはわかるが、とにかく落ち着け。
ただの勘だが…蓬莱は沙良ちゃんには多分手は出さねぇ。」
「………っ…クソっ…」
梅宮は机を叩くと、俯きながらスマホを見つめた。
さっきまで一緒にいたんだ。
自分を責めて当然だ。
そんなに時間は経っていないはずなのに、長い長い時間に感じられた。
ジー…リーン…
俺のスマホが鳴り、着信が入ったことを知らせた。
「んだ、こんな時にっ…もしもし?」
スマホを持って外に出ると…
「は………?」
俺は急いで店に入り、梅宮とことはちゃんに大声で伝えた。
「梅宮っ、ことはちゃん…沙良ちゃん無事だ。
梶が……」
電話の詳細を伝えると、ことはちゃんは泣き崩れ、梅宮も両手で顔を覆った。