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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第3章 遭遇



『…っ在庫の確認と、発注の準備するね。』

バタバタと外から店の中に入ると、梅君は不思議そうな顔をして、再びお父さんのミニキャブを見つめた。
今日は夜に組合の集まりがあり、店はこのまま閉める予定になっていた。


私の態度を、特に気にはしていなさそう。
良かった…
胸を撫で下ろし、パソコン画面を見つめた。

「沙良、学校お疲れな。それ終わったら、いつもみたいに頼む。先にポトス行ってるから。」

後ろから声をかけられ、ビクっとして振り返ると、梅くんが慌てたように苦笑いで言った。

「っ…悪い。驚かすつもりなかった。」

『…ううんっ。私が…勝手にびっくりしたの。
昔からそうなんだ。大げさに驚いちゃって…ごめんね。』

「いや…」

首の後ろに手をやり、真顔で私を見つめると、梅君はそのまま店を後にした。


『はぁ…もう…どうしたらいいんだろう…』

顔に手をやると熱くなっており、林檎のように頬が赤くなっている事が容易に想像できた。

『普通にできない…
というか、普通って…どうやったらいいんだっけ…』

ため息をつき、呼吸を整えて発注作業を終えると店を閉め、ポトスに向かった。


多分梅くんには私の気持ちはバレてはないと思う。
けど嫌な思いはさせているかも…
何とかしなきゃ。





空を見上げようと、頭を上げた瞬間ーーー





左腕を強引に引っ張られ、口を押さえられたのと同時に視界が真っ暗になった。

『っ……ゃっ………』

口を押さえる手を剥がそうともがくと…


ドスっ…


『…っ……』

お腹に鈍い痛みを感じ、意識が遠のいていくのがわかった。















ーーーーーーーーーーーーーーー



『ん………』

ひんやりとした風が頬をなで、ゆっくりと目を開けると…
飛び込んできた光景に心臓がぎゅっと掴まれたように苦しくなり、息がうまく吸えなくなった。


「はじめまして、遠藤沙良さん。
俺らはラートルってチームなんだけどさ…」


黒いパーカー、黒いパンツに黒いマスクをした男の人達5人が私の周りを囲むように腰を下ろしており、そのうちの1人が口を開いた。




ラートル………誰?

何で私の名前……調べた…の…?


マスクはしているけれど、恐らく5人のうち、誰一人とも面識はなかった。
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