【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第2章 出会い
多聞衆と梅宮、補佐、女での集合写真を撮り終わり、梅宮は女を家まで送りに行った。
side 沙良
「今日はありがとな。強引に来させて、悪かった。皆嬉しそうだったよ。」
梅君は、全く悪いと思ってなさそうな笑顔でそう言った。
『とても賑やかで…びっくりしま…びっくりしたけど、皆さんに会えて良かった。楽しかった…』
「ははっ、そうだろ?皆、俺の自慢の仲間だよ。まだまだ人数いるけどな。」
梅君は目を細め、私の方を真っ直ぐに向いた。
「沙良、いい自己紹介だった。」
『…っ……梅…君が、皆いい人達で、心配しないで喋っていい、って言ってくれたから、あんな風に喋れた。ありがとう…』
そう、あの時、大丈夫だよ、って言ってもらえた気がして、優しく背中を押してもらえた気がして、一気に安心した。
「…沙良…」
『……?』
「俺達風鈴の生徒はさ、チームで街を守ってんだ。
それが役割だし、使命だと思ってる。
街の人達はそんな俺達に名前をくれて、"ボウフウリン"なんて呼んでくれてる。
ケンカ売ってくる奴等にはケンカで対抗する事もあるけど、街の見回りをしたり落書きを消したり、店の手伝いをしたりとかもしてる。そういうチームなんだ。」
『街を守るチーム…凄い…カッコいい。
それで皆梅君の事、総代って呼んでたの?
梅くんがチームのリーダーなんだね。』
「あぁ、まぁ…そうなんだけど、そんなすげーもんじゃないさ。皆がいなきゃ、何もできないしな。」
『お店の事も…チームの方々が支えてくれてたの?さっき梶さんて方に、おじいちゃんの事話してもらって。』
「そうだな。何かあれば見回りの時に言ってくれてもいいし、直接言いに来てくれてもいい。俺等はどこかしらのチームが毎日見回ってるから。
で、沙良…俺から1つ、頼みがある。
さっきの罰ゲームのラスト、保留にしてたろ?」
『うん……』
「お前は頭のいい高校に行ってるみたいだから、その…もし良ければ、あいつらの勉強、時々見てやってくれないか?」
『勉強を…?』
「あぁ、すげぇ簡単な事もわからんような連中だとは思うけどさ、一応赤点とかとると、補講やら補習やら受けなくちゃならなくて、活動に支障が出るんだ。頼む。」
深々と頭を下げる梅くん。