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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第8章 ※歪み



「沙良ちゃん、どうしたら沙良ちゃんは…
俺だけのものになるのかな…」


離れようとしたのに傷つけられていないと縋り、俺の事が好きかと聞けば頬を染めてわからないと言う…


「ふふっ…ずるいなぁ…」


翻弄されてるね…2歳も下の君に。
何度も見た寝顔を、隣に寝そべりながらマジマジと見つめる。

「…………」

ゴテゴテとラメの入ったアイシャドウやアイラインがつけられ、重そうなまつ毛が乗せられている。
勿論綺麗ではある。
大人の女性みたいに…


けど…

「俺は…
いつものナチュラルな沙良ちゃんが好きだなぁ…」



"好きだよ…"



自分の意思とは関係なく、そんな台詞が口から出てきたことに本当に驚いた。
前髪にサラりと触れる。


「もう…止められなくなってきているのかな…」

どうしてくれるの?責任とってよね。
ほっぺをつついても全く起きない沙良ちゃんに頬が緩む。



ブー…ブー…



沙良ちゃんのバッグから音が鳴る。
緊急の用事なら起こさなければ…
正義感から沙良ちゃんのスマホを確認する。



梅宮一



画面を確認して電話の主は梅宮だとわかると、スマホをバッグに戻そうとした。

戻そうとして…



ある感情が自分を支配した。



いけない事だとわかってる。



それでも…



「………もしもし?」

「…あれ?十亀か?…あれ?俺…」

「俺だよ、間違ってないよ。沙良ちゃんの携帯にかけたんでしょ?」

「あぁ…沙良は?」

「いるよ、隣に。」

「じゃあ、変わってく…」「寝てる…疲れちゃったみたい。」



「…寝てる……?」

流石。声のトーン変わったね。気付いたかな。


「無理させちゃったみたいだから、すぐには起きないと思う。服も着ずに寝ちゃってるから…起こそうか?」

ふっ…と笑うと電話の奥からは何も聞こえなくなった。



梅宮、お前はさ…

どう思ってるの?沙良ちゃんの事。


聞いてもよかったけど敢えて聞かなかった。



「いや、いい……またかける。」


思いの外動揺したみたいだね。

もっと色々聞いてくるかと思った。



俺は無言で、すやすやと眠る沙良ちゃんの手をぎゅっと握った。
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