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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第7章 ※本当の私



『その…原因は…
私のせいなのか…仕方のない事なのか…ずっと…考えないように……していて…』

どうしよう…

うまく喋れていない気がする…


緊張で頰が熱い。とっさに左腕を掴んだ。


「沙良ちゃん…」

私が話したい事がわかるのだろう…蘇枋君が心配そうに私を見ている。

『けど…いつまでもそうやって…
目を背けたくないから…』


大丈夫。

きっと大丈夫。

風鈴の皆の事、信じたい。

ありのままの私を受け入れてほしい。


カーディガンを脱ごうとすると



ガタっ…ガターン……

椅子が転がる。

気づくと二本の腕が伸び、カーディガンを脱ぐのを阻止するように左腕が押さえられていた。





椿さんが静かに口を開く。



「…座りなさい。蘇枋…梶。」


「……っ…」

梶君は明らかに動揺し、私の目を見つめた。

「沙良…」

梶君は少しズレたカーディガンを元に戻すと、首を振った。

そんな事しなくていい、と…


「聞こえないの?2人とも。座りなさい。」

2人とも私を見つめ、これからしようとしている事を止めようとしているのがわかった。


恐らく、私が傷つかないように…


『ありがとう…蘇枋君、梶君。
大丈夫…私が…そうしたいの。』

2人を真っ直ぐに見つめてそう言うと、椅子を直し、2人は席に座った。


深呼吸し、ゆっくりとカーディガンを脱いだ。


誰の呼吸音もしないくらい無音の中、皆、私の左腕に注目する。

『私には、産まれた時から…この痣があります。
イジメを受けたこともあるし…辛い思いも………し…』

鼻がツンとして目に涙が溜まる。
息が上手くできない。

ダメだ…最後までちゃんと…


ギィ……

蘇枋君が立ち上がり、私の肩をそっと抱いてくれた。

"大丈夫"

そっと囁くと、私の目を見て頷いてくれた。

涙が止まり、私も頷いた。

『まこち町に来て…皆さんと出会って…
皆さんの優しさに触れて…毎日すごく楽しくて…』


大丈夫…言える。


『皆さんのことが大好きだから…私…
自分を…隠して生きていたくないって…思いました。だから』

呼吸を整えて言った。


『これからはこうして…自分を隠さずに…
生きていきたい…ありのままの私を見てほしい…
これからも…どうぞよろしくお願いします。』
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