【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
シン…とした空気の中
「…んなこたぁ、お願いされるまでもねぇだろうが。」
桜君がぶっきらぼうに言った。
「…そうだよ沙良ちゃん。
大事な事、話してくれてありがとな…
俺ら、沙良ちゃんに痣があろうが何があろうが…関係なく、仲良くしていきたいと思ってる。だからこれからも…変わらずよろしくな。」
安西君が静かに言った。
「そうだよ…」
「何も変わんねぇよ。」
「沙良ちゃん、話してくれて嬉しかったぜ。」
口々に、そう言ってくれる皆。
『ありがとう…皆。』
皆の優しさに安堵し、涙が溢れた。
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「んじゃ、飲み物も食べ物もなくなったし、そろそろお開きにすっか。」
梅君が呼びかけ、私は頷いて荷物を持ち、立ち上がった。
「沙良…ここ片付けたら、ちょっと店に行ってもいいか?」
優しい眼差しで私を見つめる梅くんにドキリとし、
『うん…』
と返事をすると、
「沙良ちゃん…ちょっとでいいから俺の家に来てよ。
じいちゃんに、今日の可愛い沙良ちゃん見せてやりたいんだ。」
条くんが肩に手を乗せ、顔を覗き込んできた。
『…おじいさんに?』
「俺が送迎できるのも、明日までだしねぇ…」
頼むよ、と手を合わされてしまっては断れない。
『…わかった。見せたら…帰ってもいいかな…?』
「勿論いいよ。梅宮とも話したいもんね。」
ニッコリと微笑む条君に、頰が熱くなる。
『じゃあ梅君…帰ってきたら……
連絡してもいい…?』
「あぁ、待ってる。」
今なら梅くんと…きちんと向き合える気がした。
もしかしたら自分の思いも…
伝えられるかもしれない…
そんな風にも思った。
梅君の微笑みに嬉しさを隠しながら、ポトスを出て急ぎ足で条君の家に向かった。