【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
『…皆さんっ…ありがとう…ございます。』
クラッカーが鳴らされ、紙テープが頭の上に落ちた。
店内はバルーンやマステなどで可愛くデコレーションされ、テーブルには美味しそうなお料理や飲み物が所狭しと並んでいる。
『今日はテーブル…こういう形なんですね。』
テーブルは1列に繋がり、その周りを囲むように皆立っている。
「沙良ちゃん、誕生日おめでとう。
すっごく綺麗っ…これは晴竜君が?」
出迎えてくれたことはちゃんは清楚なワンピースを着ていて、髪もアップにしてとても大人っぽい。
『うん…晴竜さんのお任せで…
ことはちゃん、綺麗…自分でやったの?』
「ふふっ、あまり上手くないけど自分でやっちゃうの。
たまに晴竜君にも色々教えてもらうんだけどね。凄いよね、センス…」
『うん…ホントに素敵にしてもらって…』
「はいはい、入り口でくっちゃべってないで、とっとと入って、2人とも。」
椿さんに押され、中に入った。見慣れたメンバーが座り、ワイワイと話をしていた。
『あの…今日は…ありがとうございます。
私のためにこんなに素敵な会を…』
視線が集まり、頰が熱くなる。
「いつもお世話になってるんだから、当たり前じゃん。」
「そうそ、沙良ちゃん今日は楽しんでね。」
ポトスは入れる人数が限られているため、抽選をしてメンバーを決めたらしかった。
抽選できるのは20回以上勉強会に参加している人だけだということで、1年生が多く、次いで2年生という比率になっていた。
労力をかけるための抽選…
いいのだろうか…と、申し訳ない気持ちになった。
「じゃあ…主役の沙良ちゃんの席は決まってるから…
後は皆でクジで席決めますので、順番に引いてください。」
杏西君が皆さんに呼びかける。司会をやってくれるようだ。
「じゃあ沙良ちゃん…終わった頃に来るね。」
『うん。ありがとう…』
ニッコリ笑って頷き、条君が帰ろうとすると
「十亀も参加していきなさいな、せっかくじゃない。」
椿さんが声をかけた。
「え……いいの?」
「是非是非っ、皆で沙良ちゃんの誕生日、お祝いしましょうっ。」
楡君が、明るく言ってくれた。
「じゃあ…お言葉に甘えて…」
条君もクジを引き、全員の場所が決まった。