【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
ドラマや漫画で見たことがあるだけだった場所。
蘇枋君は手早く部屋を選択し、ライトに誘導された道順を無言で進んでいく。
『…っ…あのっ…蘇枋くっ…』
掴まれた腕を引っ張って抵抗しようにも、びくともしない。
抵抗は無駄だと理解し、引っ張るのを止めた。
目的の部屋に着き、扉を開けて中に入ると
蘇枋君は私を見つめ、髪を優しく撫でてくれた。
『…蘇枋…君…』
割れ物に触れるかのように
そっと抱きしめて呟いた。
「沙良ちゃん…君は…
ホント、危なっかしいんだから…」
眉をハの字にし、ふっ、と笑う蘇枋君の心臓の音が聞こえてきそうなくらい体はピタリとくっつき、背中に回された腕からは
勘違いでなければ…
"君を俺に…守らせてくれないかい?"
そう言ってくれたあの時の気持ちが、ひしひしと伝わってくるように感じた。
『蘇枋君…』
想像よりも、ずっと逞しい蘇枋君の体に包まれていると、心地良い睡魔が襲ってきた。
「眠い?」
『…うん…ごめんね…』
「大丈夫。そうだと思って入ったんだから…
その前に…」
そう言うと、蘇枋君は顔を近づけ
そっと、唇を重ねた。
『…っ…んっ…』
角度を変え、舌が侵入すると…
歯列、上顎まで蘇枋君の舌が容赦なく這ってきた。
『んんっ……ふっ…』
生き物のように滑らかに、吸い付くように動く蘇枋君の舌に応えていると、下半身がキュンとしてきた。
ガクっ……
「ふふっ…腰抜けちゃったの?
可愛いなぁ…足も擦り寄せて……」
蘇枋君は私を抱きとめて体勢をもとに戻すと、耳元に口を寄せて囁いた。
「気持ち良くなってきちゃった?」
妖艶な声色が耳に届き、一気に体が熱くなった。
『…っ…そんな事…』
「やっぱりお酒だったね。」
『ぇ………?』
「今確かめたんだ。カクテルみたいな甘さだけど、ちゃんとアルコールは入ってる。」
来て、と蘇枋君はソファに誘導してくれた。
「ちょうど…沙良ちゃんがホールに来るちょっと前に、店が混み出してね。飲み物の注文も増えていたから、オーダーミスとか渡し間違えとかも目の前で見ていて。
だから雨竜さんが頼んだ時に厨房で作り間違えたのかもね…」
蘇枋君は懸命に記憶を辿り、説明してくれた。
今のキスは私の口の中を調べてくれたんだ…