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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第7章 ※本当の私



「ちょっと待ってて。」


椿さんは席を立ち、しばらくすると戻ってきた。

「これを着たらどうかしら?」

持ってきてくれたのは、丈の短いボレロタイプのカーディガンだった。


『これ…』

「これなら胸を張って着られるでしょう?
いい?沙良。アンタが勇気を出したから、気に入った服を着るための選択肢が増えたの。諦めなくていいし、遠慮しなくていいの。それはアンタが勇気を出したから…自分で掴んだからよ。それを忘れないでね。」

椿さんはふっ、と笑い、晴竜さんもニコリと微笑んで、頷いてくれた。晴竜さんはキレイにメイクを直し、フィッティングルームに案内してくれた。




 


ーーーーーーーーーーー

「……俺には森に現れた妖精に見えるね。」

「しつこいわね晴竜。突然空から舞い降りた天使だって言ってるでしょ、全く…」

『あの……』


二人は満足気に私を見つめ、頷いた。

「綺麗よ沙良。アイツらに見せてきなさい。鼻血吹くから。」



コンコン



「遅すぎ…何してたのお前…」

「…忘れてて…さっき伝えた。」

雨竜さんが、何か綺麗な飲み物を渡してくれた。

『ぁっ…ありがとうございます…あの…コレ……』

「沙良ちゃん勉強で疲れてたからさ。
ラズベリーとビネガー、ソーダ、はちみつなんかが入っていて、疲労回復にいいはずだよ。」

『っ…ありがとうございます。』

「いいえ、お礼にまたモデルさんしてよ。」

誕生日おめでとう、と晴竜さんは言ってくれた。






飲み物を持って先程のホールに戻ると


「え………ぇ……?もしかして沙良ちゃん…なの?」

楡君が目を見開いて言った。

『うん…どうかな…?』

「いや、どうもこうも綺麗すぎでしょ…
元々綺麗だけどなんかもう半端ない美しさっていうか…
ねぇ!?蘇枋さん…」

「そうだね。」

蘇枋君はそう言うと、ニコリと微笑んだ。

「沙良ちゃん、可愛くしてもらって良かったね。すごく似合っているよ。」

『…ありがとう。』

あっさりとそう言うと、水の入ったコップを手に取り、中身を口に含んだ。

「桜さんもっ…沙良ちゃんに何か言ってくださいよ。」

「はぁっ…!?俺…?あぁ……いいんじゃねぇの…」


桜君も、真っ赤になりながらそう言ってくれた。
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