【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
「沙良…座って。」
椿さんと向き合うように座った。
「随分信頼されてないのね、私達…残念よ…」
「っ…ちょっと椿……」
「アンタは黙ってなさい。」
私の瞳をじっと見つめる椿さん。
そう言われて当然だと思った。
「沙良…」
『………』
俯く私に声がかかる。
「ここでアンタをフォローする事は簡単だわ。
晴竜みたいに、細かく、一から百まで聞いてあげたらアンタは楽かもね。けど…」
「アンタは一生そうやって私達にお膳立てされながら生きるの?」
『…っ……』
体がビクリと強張った。
「私達は家族じゃない。だから一生一緒にはいられないわ。
アンタはこれから色んな人間と関わっていかなきゃならない。学校もそう、就職してもそう、買い物1つ取ったって、誰とも関わらず生きていくなんて不可能なのよ…」
椿さんの諭すような温かい口調に涙が溢れた。
「アンタ…今の自分、好き…?」
ブンブンと首を振った。
「だったら沙良…勇気を出して…殻を破りなさいよ。
アンタに何があったのかは知らないけど、いつかは変わらなきゃいけないの。だったら今変わったらいい。私も晴竜も、アンタに何言われたって受け止めるから。」
『ふっ……ぅっ……私…』
流れる涙を拭きながら、思っている事を全て話した。
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「…バカね……」
私をぎゅっと抱きしめる椿さん。
椿さんも鼻をすすり、泣いてくれているのがわかった。
「…何で迷惑なんて思うのよ…」
『椿さんに…嫌われるのが怖くて…』
大好きな人を困らせたくない。
嫌われたくない。
「何でアンタを嫌うのよ…大好きに決まってるでしょう?」
『……思ってる事…言ってもいいの…?』
「勿論よ…それでアンタを嫌うやつは、それだけの奴なの。見限って構わない。私がそんな人間だと思ったの?」
『違うっ…ただ…怖くて……』
「沙良…アンタのそういうとこも、全部ひっくるめて私も晴竜も、アンタが大好きなんだから。次に遠慮したり、変な気を遣ったら、それこそアンタを嫌いになるからね…わかった?」
コクリと頷いた。
「ワンピースが…嫌だったわけじゃないのよね?」
『…はい。ただ…痣が見えるから…皆さんがどう思うかを考えてしまって…他にも…色々…』