【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第2章 出会い
今から高校まで向かう駅を目指してまた電車に乗るのもおかしいし、そんな事をしたらこちらに向かっている梅宮さんにも悪い…
大丈夫。平常心だ。
少し…ほんの少しポトスに顔を出して、ことはちゃんと話をして帰ったらいい。そう、大丈夫。
個性的な人達の顔が思い浮かび、心が折れそうになったけれど、よし…と持ち直し、前を向いて商店街までの道を歩き出した。
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「あ、沙良ー。」
満面の笑みを浮かべ、ブンブンとこちらに手を振る梅宮さん。
背…結構高いんだ。
一昨日はよくわからなかった。制服のジャケットがロングタキシードのように長いから余計に目立つ。
それに…
『髪…普段はそういう風にしてるんですか?』
「んー?あぁ、これ?そう、休みの日は一昨日会った時みたいにしてるんだけど、ナメられるとか、キマらねぇとかの理由で、いつもはこうさせられてんの。まぁ結構気に入ってはいるんだけど。
沙良はどっちが好き?」
小さな子供のようにシシ、と笑いながら質問する梅宮さん。
させられてるって…誰にだろう?
ナメられるって誰に?
いくつか疑問が湧いたけれど、髪型は正直、どちらもいいと思った。
下ろしている時は幼く見えて可愛らしいし、今日みたいに上げているのは…カッコイイ。
けれど私の好みなんて…
『……ぇっ……と……』
「…沙良さ、俺とゲームしない?」
『ゲーム……ですか…?』
「そう。ゲームだから、負けた時用の罰ゲームもつくろう。沙良が負けたら俺の言う事を1つ聞く。俺が負けたら沙良の言うことを1つ聞く。どう?」
『言うこと……』
「ははっ、そんな変な事言わないから安心してよ。
ゲームって言ってもただの会話だから。」
『会話がゲーム…ですか?』
「そう、今から俺たちは会話する。沙良は…そうだな、俺に謝ったら負け。すみませんのす、一言でも言ったら負け。」
『…頑張ります。じゃあ、梅宮さんは…どうしたら負けになりますか?』
「俺?んー、何にしよう。」
『笑ったら…負けとかどうですか?』
「え、それすげぇ難しいじゃん。俺基本、笑ってんのに。」
『ふふっ…だからそれにしたんです。』
そう言うと、梅宮さんの目尻がいつもより下がった。