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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第52章 鈍器


「大丈夫? ユメちゃん」
 私の心の葛藤に勘づいたのか、ぼんじゅうるがそう声を掛けてきた。王女の私が、自分で決断したことに迷ってはいけないよね。もう二度と、あの国の女王にはなれないかもしれないけど……。
「大丈夫です」
 それから私が立ち上がると、みんなが駆け寄ってくれた。まずはノゾミを抱えたドズルが私のそばに来る。
「意識を失っているだけみたい。回復の魔法は掛けて置いたから、もう少ししたら起きるかも」
 貴方の魔法と力強い意志に、よく助けられましたね、ドズルさん。
「エンドラ討伐、おめでとうございます」
 と冷静な口調で言ったのはおんりーだ。彼には城の時から沢山のことにさり気なく助けてくれた。ありがとうという言葉だけでは、感謝し切れません。
「最後めっちゃカッコよかったで、ユメさん!」
 明るく笑うおらふには、いつも和やかさをもらっていました。貴方のそばにいるとこちらも笑顔になります。一緒にいてくれてありがとう、おらふさん。そして、アレイさんと蜘蛛さんと蜂さんたちと逞しいオオカミさん、スケルトン家族さんたちにも、感謝します。
「いやぁ、凄かったですねぇ……」
 と言ったMENさんのことはあまりよく知らないけれど、貴方といると不思議と元気が出るんです。ノゾミに当たらないように爆弾の火力を調整してくれたこと、私、気付いてますよ。
「じゃあ、そろそろ……」
 ぼんじゅうるが切り出すように島の中心へ視線を投げた。そこには一つの小さな柱があり、先程までなかった真っ黒な穴が出来ていた。……ここに来る時に見たポータルと同じ色をしている。きっと、あの穴を通ったら、私たちは──。
「皆様、ありがとうございました。皆様の活躍は必ず、王国中に知らせて大巫女王国の歴史に残します」そう言って素早く頭を下げると、ポロリと涙が零れて私はハッとした。「ごめんなさいっ、私ったら……」
 私はすぐに瞼をこすった。だけどもこれからの別れを思うと、悲しくて悲しくて、涙を止められなくなってしまって。
「大丈夫大丈夫。こういう時は、泣いてもいいのよ」
 ぼんじゅうるが優しく背中をさするから、私はその場でしばらく号泣した。
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