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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第48章 姉妹


「おねぇ、ちゃん……」

「こんなもの、効かん!」
 太鼓のような大声で叫ぶなり、エンドラは両腕に力を込めて絡みついた蜘蛛の糸を引きちぎった。そして一気に反撃を仕掛けて近くにいたぼんじゅうるが吹き飛ばされて見えなくなった。だけど、彼は勇者だしきっと大丈夫。私はそう信じて、さっき聞こえたノゾミの幻聴について考えようとした。
「ユメさん、そこは危ないよっ」
「えっ」
 ドズルの声で目を上げた直後には、エンドラは私の目の前に迫っていて逃げることは出来なかった。咄嗟の判断で大巫女の杖を盾にしてしまったが、不思議なことにこんなに細い棒切れが、エンドラの鉤爪を弾いて驚いた。そういえば伝説で聞いたことがある。エンドラは、大巫女の杖に触れることは出来なかった、と。
「能無しでも大巫女の血筋だというのか?!」
 とエンドラは悪態を吐くが、今はどんなに侮辱されたって構わなかった。ノゾミを助けることが出来るなら、私は何を言われたっていい!
「ノゾミを離して下さい!」私は精一杯大きな声で言い放った。「ノゾミは私の大切な妹です! 貴方に何を言われたって、私は、ノゾミのお姉ちゃんだから……っ!」
「ガッハッハッハッハッ、何を可笑しなことを!」エンドラは空気が震わせながら笑い声をあげた。「そんな下らねぇ姉妹のために、貴様も俺様の生贄にしてやる!」
 触れられないならと、エンドラは地面を叩いて地形を破壊した。足元が崩れて私は体勢を崩し、その隙にエンドラは瓦礫を掴んでこちらに投げつけてきた!
「こっちへ!」
 すぐにおんりーが飛び出してきて私の手首を掴む。私はおんりーと共に走り、その後ろでドズルが魔法で何かしらの攻撃を放ったのが見えた。
 私は走りながらなんとかこう言った。
「ノゾミをエンドラから離して下さい! エンドラはノゾミの力を吸収してどんどん強くなっています!」 
 ずっと片手でノゾミを掴んだまま戦っていること、そして先程縋るように聞こえた弱々しいノゾミの声から推測した、私の直感だった。
 ノゾミは意識を失っているので、ノゾミが本当に私を呼んだかは分からない。だけど、ノゾミが教えてくれた気がした。
「お姉ちゃん、助けて」
 って。
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