第48章 姉妹

｢卑怯はどっちだ、忌々しい人間たちめ！｣エンドラはそう喚きながらノゾミを盾にして立ち上がった。｢俺様をこんな世界に閉じ込めた人間の、どこが卑怯じゃないと言うのか！！｣
　グゥオオッと咆哮をあげるエンドラ。それは攻撃の一種でもあったようで、エンドラの間近にいたドズルは大きく吹き飛んで柱にぶつかり、私も強い風で立っていられなくなって転がったところ、おらふのオオカミが助けてくれた。
｢大丈夫？　ユメさ……｣
｢おらふさん、後ろっ！｣
　オオカミの横にいたおらふが私に手を伸ばそうとした直後、真後ろからエンドラの尻尾が急襲してきていた。
　え、と言う頃にはおらふも吹き飛ばされていて、私は瞬時に絶望を感じた。私は、このままエンドラにやられるんだ。皆もこのまま、やられて帰れなくなるんだ、と。
｢これでも喰らえっ！｣
　とエンドラに向かって行ったのはMENだった。しかしエンドラは気にすることなく暴れ回り、何度もMENに鉤爪や尻尾で攻撃をした。私は見ていることしか出来ず、早くそこから逃げてと祈るばかりだった次の瞬間、目には見えない強い衝撃がエンドラを襲った。
　エンドラは途端に動きを止め、目を回し始めたのだ。
｢蜘蛛と蜂さんたち、今だ！｣
　そのおらふの号令で蜘蛛と蜂の群れが飛び出した。振り向くとおらふは、スケルトン家族に支えながらもなんとか体勢を保っている。……そうか、さっきの衝撃をスケルトン家族の召喚で和らげたのだ。
　蜘蛛はふらついているエンドラに糸を吐き、蜂の群れが一斉になって襲いにかかった。だが気がかりなのは、エンドラの片手にはずっとぐったりしたままのノゾミがいることだ。私は、気付いたら走っていた。
｢ノゾミ、起きて！｣
　まさか、間に合わなかったなんて、思いたくなくて。
｢よし、これでトドメだっ｣
｢ぼんさん、やっちゃって下さい！｣
　ぼんじゅうるが駆けつけて来て、ドズルは彼に魔法を掛ける。ぼんじゅうるがドズルの魔法でキラキラと赤く光り出し、今まさにエンドラにトドメを刺そうとした直前に私は何か違和感に気付いた。