第47章 エンダードラゴン
「何をっ」
爆弾の煙をすぐに振り払ってエンドラは後ろを向く。その視線の先は、柱の上にいるMENがいた。
「すいやせん、話が長いもんで」
「小賢しい!」
エンドラは羽ばたいた。強い風が吹き荒れ、目の前にいた私はふらついた。エンドラの狙いはMENだった。危ない、と思った時にはMENは目が眩む程高い柱の上から飛び降りて、見事水を撒き散らして無傷で着地したから私は驚いた。
だがエンドラはそれだけでは止まらず、しつこくMENを追い掛けた。MENは走り続けたが、逃げるばかりではラチがあかないだろう。何か助けなくては……!
「おーいMEN、こっちだ!」
とぼんじゅうるが手を振ってMENを呼ぶ。エンドラがMENにヘイトを買うのは作戦の内だったのか、MENはエンドラを引きつけたままぼんじゅうるの方へ方向転換して走った。
そこですかさずぼんじゅうるは剣を振りかざす。あれは嵐を起こす技だ、と私は気付いたが、エンドラも同じく気付いたようである。
「また嵐の技か! 俺様が何度もお前たちで敗けると思うなよ!」
エンドラは身を翻して上空へと飛び立った。ぼんじゅうるの嵐の技はあっさりとかわされてしまったが、狙いは命中させることではなかったらしい。
「そこだっ」
どこで隠密していたのか、柱の影から急に飛び出したおんりーが、エンドラに向かってガンナーを向けた。そのガンナーから放たれたのはロープがついたフックだ。
「何をっ」
エンドラは唐突に現れたおんりーに一瞬怯み、その隙にガンナーフックがエンドラの足を絡み取った。体勢を崩してエンドラは地上に落下し、そこにドズルが魔法の力を込めて正拳突きをした。
「グフッ……!」
エンドラは懐を殴られて呻いた。だがそれだけでトドメという訳にはいかず、翼を何度も羽ばたかせて飛び立とうとした。ドズルがもう一度殴ろうとした時、エンドラが片手で掴んだままのノゾミを前に出して盾にしたのだ……!
「卑怯ですよ、エンダードラゴン!」
私は思わず叫んだ。ノゾミはずっと、エンドラの手中で意識を失っているみたいだった。