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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第7章 旅立ち


 私は、最終巫女試験を通っていないから知らなかったのだが。
 大巫女は世界の危機が訪れた日、勇者とその仲間と共にエンダードラゴンを封印したのだそうだ。
 この事実を知っている者は一握りか、最終巫女試験まで辿り着いた者しかおらず、私すら知らなかったことに目が回りそうだった。
 だけども、まだ万全ではないお母様に行かせる訳にもいかず。
 私は流されるまま、出発の準備を始めた。その間入れ代わり立ち代わりやって来た侍女や兵士たちからは「貴方が本当にやれるのか?」みたいな疑いの眼差しやお小言を貰いながら出発の準備を続けるのは相当キツかったが。
 ただ、お母様におんりーと呼ばれた小柄な兵士だけは心境までは読みづらく、深々と兵士の帽子を被ってそばに立っているだけだった。
 そうして、私がいよいよ大巫女の上衣に腕を通そうとした時、今まで黙っていたあのおんりーが話し出した。
「勇者たちみんな、今どこで何をしているのか私にも分からないんですよね」
「……え」
 お母様がそれ程信頼を寄せていたから、てっきり知っているものかと思っていたのだけれども。
 私は上衣を羽織るのも忘れ、おんりーの次の言葉を待った。
「自分たちはこことは違う別の世界から来ました。アナタの母親、女王様と一緒にエンドラを封印すれば元の世界に戻れると思ったんですが……」とおんりーは言う。「なので他のみんなは、それぞれ別行動で元の世界へ戻る方法を探しに行くと言って、ここに戻って来ていないんです」
「だとしたら……」
 どこに行ったらいいのか分からないのではないか、と私は言おうとしたが、おんりーはまずは杖の修復に行きましょう、と話を続けた。
「行ってから考えましょう。もしかしたら向こうにいるかもしれないので」
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