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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第44章 サプライズ


「でも、エンドラ討伐したら、ここで仲良くなったオオカミさんや蜘蛛さんやアレイや蜂さんたちとはお別れやなぁ」
 ぽつんと言ったおらふの言葉。おらふの肩にいる蜘蛛が小さく縮こまったように見え、足元のオオカミはうずくまり、アレイの顔は俯いているようでもあった。蜂の群れが近くで忙しなく飛び回っている。
「私とも、お別れ、ですよね……」
 彼らが異世界から来たことは、わりとすんなり受け入れられたつもりだ。だけど、必ずやって来るだろうそれに、私は気付かないフリをしようと必死だった。
 それくらいには、私は彼らと一緒にいることが楽しかったのだ。
「だから、これを最後に用意したんだ」
 と不意にドズルが取り出したのは、小麦と卵とサトウキビ。さらには牛乳を入れたバケツもそこにある。
「え……」
 なんのことか分からず私が首を傾げると、ドズルは目の前に折り畳み式の台を広げて何かを作り出した。
 それからふわりとドズルが魔法を掛けると、私もよく知っている食べ物に変身したのだ。
「ケーキ……!」
 たったあの材料だけでどうやって作ったのか分からないが、半分はドズルの魔法で作り上げたのだろう。台の上には大きなホールケーキが乗っかっていて、ドズルはニカリと笑った。
「遅くなったけど、誕生日ケーキ。一緒に食べない?」
 私の方を見て提案するドズル。断る理由なんてあるだろうか?
「食べます!」
 私は即答した。
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