第44章 サプライズ
「あのね、ユメさん。僕たちはいつも、あちこちの世界でエンドラ討伐をしてきたんだ」とドズルは言う。「だけどこの世界では、前はクレアさんがその大巫女の杖で封印しちゃって、完全な討伐は出来なかった。だから、エンドラはまた、僕たちやノゾミさんを襲ったと思うんだよね」
ずっと、気になってはいた。
私も、大巫女の昔話も、お母様も、みんな、エンダードラゴンは封印するものだと言い伝えられていたしそう聞かされ続けていた。
だけど、おんりーを始め、彼らは「エンドラを討伐する」と仕切りに言葉にするのだ。なぜ、封印ではなく討伐なのか、そして、なぜ大巫女の昔話は今もこうして繰り返されているのか、私は不思議だったのだ。
五人の注目は全員私に向いていた。私は両手で握った大巫女の杖に力を込めた。
「……エンドラは、封印してはいけないんですね?」
お母様がしたのはエンドラの封印だ。そうして一時期世界は平和にはなったが、またエンドラは封印を解いてこちらの世界に来て私たちやスケルトン家族を襲撃した。ノゾミの力を生贄にしたら被害は世界中に広がり、もっと酷いことになるのかもしれない。そして、もし封印しても、また十数年後にエンドラが復活して世界を襲ってくるのなら、答えはそれしかないと私は思ったのだ。
「クレアちゃんの封印術見た時はびっくりしたけどね、エンドラはまた復活しちゃったし、俺たちは元の世界に戻れないし、そういうことだと思うんだよね」
ぼんじゅうるのよく通る声はここでも穏やかで、聞き取りやすかった。気さくな言葉遣いの中から、確信さが私には感じ取れた。