第42章 じゃれ合い
やり方はどうであれ、私たちが向かう道は進めるようになったので、早速馬を走らせた。私はぼんじゅうるの後ろに乗り、横ではおんりーとMENが乗る馬が並び、おらふはオオカミに跨って歩いている。というのは定員オーバーで、ドズルは歩いていたからだ。
「やっぱり、私が歩きますから、ドズルさんは馬に乗った方が……」
と私は何度もドズルにそう提案したが、お姫様を歩かせるのはとんでもない、とドズルが紳士に断るのでこのような形で移動することになっていたのだ。ただ、馬に乗りたくない訳ではないようで、ぼんじゅうるには度々場所を代わりますかと揶揄うようには言ってはいたけれど、それが二人のじゃれ合いなのだと思うと私は心が和むばかりだった。
じゃれ合い、か。そういえば、私とノゾミにもそういう時期があった。小さな嘘を言って騙したり、でもやっぱり優しくしたり。彼らは全然似ていないけれども、兄弟のような関係なんだろうな、と私は常々感じた。だからますますこう思ってしまうのだ。
私とノゾミは、いつから仲違いするようになったんだっけ。
そう考えると胸の奥がチクリとして、私は考えないように首を振る。だけども、最初から察しのいいおんりーには何かしら勘づかれていたみたいだ。
私たちが農村地帯を抜け、森の中へと進み出した頃、途中湖までやって来たのでそこを水汲み場として休憩を始めた時、おんりーがそっと声を掛けてきたのである。