第39章 爆撃
「危ないっ……!」
私がそう言う直前には、目の前に立っていたはずの四人はもうどこかに姿を消していて、ネコおじと一緒にその場に取り残されているばかりだった。
その隙に黒い霧のような姿をしたエンドラ……の幻影は、そこにいる男性に赤い何かを投げつけられて反撃を受けていた。だが幻影はその名の通り実体がないらしく、やったかと思えば男性の後ろにいつの間にか回り込んでいてもう一度噛み付こうとしていた。
そこで現れたのが立ち昇る風である。颯爽と現れたぼんじゅうるが剣を一振りすれば、幻影は散り散りになって風の中へと消えてしまう。だが、それがトドメという訳ではない幻影がもう一度ドラゴンの形作ろうとする間も与えず、何かしら呪文を唱えていたドズルが杖を振りかざした。
するとどうだろう。幻影はバラバラの姿のまま完全なドラゴンにはならず、ただただ空中に漂うだけの存在となったのだ。今度こそ倒したのか、と私は一瞬安堵したが……。
敵は悪足掻きのようにバラバラの体のまま体当たりをしてきたのである。まずはぼんじゅうるに、次にはドズルを狙ったがなんとかかわし、おんりーはフックガンを木の枝に飛ばして上手く遠くへ誘導する。そしておらふにはスケルトン家族の魔法陣が展開されていた。呼び出されたスケルトン家族は一斉に弓矢を放ち、その攻撃を受けた敵はますますバラバラになって逃げ回った。
「なんやこれ! どんどん増えてきとらん?」
とおらふが声をあげる通り、敵は攻撃をするとどんどん分裂しているように見えた。顔の右半分だったもの、前足の一部、翼の下部分……などなど複数の幻影に動きの一定性はなく、かわすのさえ大変だろうと思われた。