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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第5章 希望を


「お父様、お母様……!」
 私は、自分を庇ってくれた(意外にも)小柄な兵士に支えられながら、両親の元に駆けつけた。
「ああ、ユメ……貴方は無事だったのね」
 とお母様が返事をするところ大きな怪我はないようだが、表情は元気がないように見えた。
「エンダードラゴンは、ノゾミを連れ去って何をするつもりなのだ……?」
 一方、お母様を支えるお父様は、険しい目つきで拳を握る。お父様はここの城の兵士だったから、今にでも助けに行きたいのだと私は思った。
「……エンダードラゴンは、大巫女の血筋を受け継ぐノゾミを生け贄に、本来の力を取り戻そうとしているのかもしれません」お母様の口から、恐ろしい言葉が発せられた。「エンダードラゴンは、エンドに封印されています。だから長くはこちらの世界にはいないはず……すぐには出来ないとは思いますが、このままでは、ノゾミは……」
 お母様は言葉を続けなかった。だけども、私もお父様もその話の結末は安易に予想出来た。
「エンドラ、討伐に行きます」
 私たちが絶望で声すら出せずにいたところ、突然そう話し出したのはなぜかそこにいた小柄な兵士だった。
 よく見ると、彼は見たこともない弓のような武器を背負っていた。それは城で支給されている武器ではない──と私が不信感を抱いているのがお母様には分かったのか、お母様はゆっくりと体を起こして話し出した。
「彼は、私と共にエンドラ封印を手伝ってくれた者です」そして、お母様はその兵士から私へと視線を移す。「頼みの綱は貴方だけです、ユメ。彼と共に、エンドラの元へ行き、ノゾミを助けて下さい……!」
「……え?」
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