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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第37章 爆発音


「何なに、なんの音?!」
 ぼんじゅうるが驚きの声をあげて辺りを見回す。私も周りを見てみるが、時刻はすっかり夜で何も見えなかった。
「まさか、この音は……」
 ネコおじが何か言いかけて口を噤む。私は嫌な予感がした。
「この音、心当たりがあるんですか?」
 とドズルが問いただすと、ネコおじは眉をひそめた。
「これは山神様のお怒りに違いない……ワシらが作物の奉納をしなかったから、山神様が怒っておられるのじゃ!」
「そんな! 明日まで待ってもらえないんですか?」
 こんなに頑張ったのに、とおらふは植えたばかりの畑へ視線を向け、私もその暗がりを見つめた。遅かったというの……? あの時のノゾミみたいに……?
「……お前たちは勇者一行だと言っていたな?」ネコおじが静かに切り出した。「かつて勇者とその仲間たちは、それぞれの力で山神様を落ち着かせたという伝説が残っているのじゃ。もしかしたらお前たちにも、その力を秘めているかもしれん」
「いやいやいや、さすがにちょっとそれは後付け過ぎるというか」
 私が何か言うより早く、ぼんじゅうるが渋るようにそう応える。だけど、それが本当なら、山神様を落ち着かせないと次への道にも進めないのでは、と私は思ってしまう。
 そうこうと考えている内に、また一つドドォーンと大きな音が聞こえた。今度ははっきりと分かった。この轟音は、畑の向こうの山から聞こえる。
「ぼんさん、断るんですか?」
 おらふがぼんじゅうるに問い掛ける。私が何も言わないでいることが、何より言いたいことがおらふには伝わったのかもしれない。
「ここは、ユメさんの判断に任せましょう。僕たちを導いているのは大巫女のユメさんですから」
 とドズルは私の方を向き、おんりーもこちらを向いた。
「ユメさん、どうします?」
 おんりーも私に判断を委ねた。ここは私の一声で皆が動いてくれるのだろう。
「……行きましょう。もし山神様でなくても、人助けが私たちの役目です」
 きっと、お母様もそうしたよね?
 私は一人自分の中で頷きながら、今からやろうとしていることはきっとエンドラ封印に繋がることだと、強く信じた。
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