第36章 初めての農作業
そして私は、みんなと一緒にオニギリを食べたり雑談をして過ごした。これで山神様の怒りを鎮められるのか、とか明日にはあの道が通れるようになるのか、とか。
だけどもこの話になるとネコおじは必ずこう言うのだ。
「安心しなさい。明日には収穫出来るようになるから」
なんでも、この村には昔から伝わる不思議な肥料があるのだそうだ。今は植えたばかりの作物も、その肥料で明日にはあっという間に実る魔法の粉なのだと。
「魔法の粉って……怪しいものじゃないでしょうね?」
ぼんじゅうるが冗談めいた口調で言ったが、ネコおじはとんでもないと首を左右に振った。
「村代々から伝わる大事な粉なのですぞ。そんな怪しいものではないはずじゃ」
そんなネコおじの言葉にみんなはやはり怪しんでいたが、私は信じていた。城の外ではこんなにも不思議で素晴らしい力に満ち溢れているのだから、そんな魔法の粉もあるのかもしれない、と。
「さて、今日はそろそろ寝るとするかのう。勇者様たちにも小さな宿を用意しましたのでこちらに……」
とネコおじが踵を返した時だった。
ドドォーン……!
凄まじい爆音が、回りの空気を一気に緊迫感へと変えた。