第34章 ビレッジ
「レディの名前を間違えるとは失礼なおじぃさんだなぁ!」と割って入ったのはぼんじゅうる。「このお方は、大巫女王国のユメ様であられるぞ!」
「それはそれは、失礼しました、ユメ王女様」
ぼんじゅうるの大きな声に、ネコおじは恭しく頭を下げた。私は首を振った。
「そんなに謝らないで下さい。大巫女には、ノゾミがなりますから。私なんて……」
周りに散々言ってきた言葉だ。
……だけど本当は、この言葉で逃げてきた? 大巫女になる使命から?
「今、自分たちはユメさんの妹、ノゾミさんを助けるためにエンド要塞へ向かっています」と話を切り出したのはおんりーだった。「道の途中に大きな岩があって通れなかったんですが、他に道はないんですか?」
しかしネコおじは、眉を吊り下げるばかりだった。
「それが、他には道もなく……我らも困っているのです。本当はあの道から助っ人が来る予定だったのですが……これでは山神様の怒りが鎮まらないのかもしれません」
「山神様? あの大岩、山神様が落としたん?」
と聞いたのはおらふくんだ。
すると、ネコおじはその質問を待ってましたと言わんばかりに顔が明るくなった。