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導きの巫女と勇者サマ御一行[dzl]

第27章 生死


「ここにおったスケルトン家族さんたち、どこ行ったんやろ?」
 こんなにモンスターたちと激しく戦っていたというのに、別の住民が出てくることはなかった。私は嫌な予感がした。みんなの顔も真剣そうになっていたから、同じ気持ちだったかもしれない。
 少し調べてみよう、というドズルの提案で私たちはスケルトン家族の住居内を探索した。といっても、変わったものはない。真ん中にある長テーブルの上に、赤いポピーが入ったガラスケース以外は。
「……俺があげた花です」
「え」
 ガラスケースのポピーを眺めていると、いつの間にか隣にいたおんりーがそう切り出した。私はおんりーの横顔へ目を向けた。
「スケルトン家族が、食卓に彩りが欲しいって言ってて。助けてくれたお礼に、この花が欲しいと言ってきて」
「そうだったんですね……」
「はい。他にも別のお礼が出来たら良かったんですが」
 あの時は、クレアとの旅でエンドラを封印しなくちゃいけなかったから、持ち合わせが何もなく、急いでいたのもあって、ポピーだけあげたのだという。
「優しいんですね」
 私は呟くように言うと、おんりーは俯くように頷いた。
「自分たちが優しいかどうか、今でも考えます」
 おんりーの深い言葉に、私は何も言い返せなくなってポピーへ視線を戻した。こんなに大事にしてくれているのだから、スケルトン家族だって、優しかったんだろうなと知らない相手に思いを馳せた。
「私も、考えようと思います」
 自分も、もっと優しい人間でありたい。スケルトン家族たちは人間じゃなかったかもしれないけど、優しい人は、きっと人間だから。
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