第27章 生死
「ユメちゃん!」
「ユメさん!」
みんなが私を呼び掛ける声はした。だけども私はそれに答える余裕はなく、私の体は真っ先に落下をし続け、マグマの池に落ちようとしていた。
こういう時って、全てがスローモーションに見えるのね。
頭の中は不思議とそんなことを思いながら、こちらに手を伸ばしてくれるみんなを視界に入れた。あ、私ここまでなんだ。でも私、みんなが助けようとしてくれただけで……。
「お姉ちゃん……!」
ノゾミの声が聞こえた。
私は目を見開いた。まだみんなは諦めていない。お父様もお母様も、私を信じてこの杖を預けてくれた。サンディ王国の人も、私たちがモンスターを倒してくれると信じている。
そして、ノゾミもきっと……。
私は思い切り腕を伸ばした。誰かの指先がぶつかるが届かず、そのまま落下しかけたところに床の際を掴んだ。私は、マグマの池の縁に片手だけでしがみついた。