第26章 スケルトンと骨モンスター
「おらふくん、危ない!」
と叫んだのは階段下にいるドズルだった。次にはグシャリと、誰かが倒れる音。
「大丈夫か、ドズル、おらふくん!」
そう言って階段を駆け下りたぼんじゅうるの後を私は追い掛けた。私の後ろではおんりーが走ってついて来た。
「ありがとう、ドズルさん」
おらふは尻もちはついていたが、倒れていたのは骨のモンスターの方だった。ドズルは持っていた青い剣を仕舞い、そこに座り込むおらふを立ち上がらせた。……魔法使いでパンチ力も強いドズルは、剣も使うというのか。
「そのモンスターは、スケルトン家族さんたちではないのですか?」
私はおらふの無事を確認し、倒れた骨のモンスターの方へ目を向けた。この世の中、モンスターは倒されると塵となって跡形もなくなるのが常だった。ただ、そのモンスターが持っていた石の剣だけが床に落ちている。
「見た目は似ているけど、僕たちも見たことないモンスターだよ」
とドズルは答え、ぼんじゅうるは頷いた。
「そうだな、見たことのないモンスターだ」
「動きはウィザスケみたいですよね」
と付け足すように言ったのはおんりーだ。おんりーは落ちている石の剣を拾う。
「落とすのもそんなゴミみたいなもんだし、倒してもキリがないな……」そう言いながらぼんじゅうるは視線を下へ向けた。「あ、あそこ、スケルトン家族がいたところじゃないか?」
私たちは、吹き抜けがあるフロアにいた。その吹き抜けから下のフロアが見え、左右にはマグマの池、中心に砂を固めた床が伸びていて、奥にガラスケースが置いてある食卓が見えた。
あれがリビングとは私からしたら違和感でしかなかったが、スケルトン家族とやらに至っては普通のことなのだろう。赤いカーペットの上に調理台や道具が見え、生活感が伺えた。
しかし、そこには先程襲って来た骨のモンスターばかり歩き回っていて、みんなの言うスケルトン家族らしきものは見当たらない。