第25章 洞窟の奥
「ここは……」
壊した壁をくぐった先は洞窟ではなく、人工的な建物の中のように見えた。真っ直ぐな壁にはドズルが言っていた魔法の言葉のようなものが刻み込まれていたのだ。
「あー、もしかしてここ、ピラミッドじゃない?」
と言ったのはぼんじゅうるだった。天井も高くなり、声がよく響いた。
「ここが、母と来たところなんですか?」
と私が聞くと、そうそうとぼんじゅうるが頷き、横でおんりーが冷ややかにこう言った。
「ぼんさんがマグマに落ちそうになったところですね」
「え、マグマがあるんですか?!」
マグマ、という言葉を聞いたら驚かない人はいないはず。なのに彼らはケラケラと笑って楽しそうに会話をするのだ。
「そうでしたね。スケルトン家族のお家の前に、マグマの池みたいなのがありました」
と言うのはおらふ。みんないたって普通の顔をしているが、聞いたことのない単語に私の頭の中は瞬く間に大混乱だ。
「えっと、スケルトン家族って……?」
「みんな、もう少しでピラミッドの中心地だよ」
そう言ったドズルの言動で私の声が掻き消された。魔法と筋肉でまた頑丈そうな壁をドズルが破壊したからだ。
途端に熱気が立ち込めて来て私は息を飲んだ。砂漠を歩いていた時の暑さではない、と思っていると目の前が妙に明るいことに私は気がついた。
たった今話題に上がっていたマグマが眼下に広がっていたのだ。
「ここが、スケルトン家族さんがいるところなんですか……?」
気を取り直して私は訊ねてみた。スケルトン家族がなんなのかよく分からないが、私もみんなの話について行きたかったのだ。
「いや、ここは、ピラミッドの一番上かも」と言ったのはドズルだ。「ほら、天井が近いし」
とドズルが指した先の天井は洞窟の中よりは高かったが、私がよく知っているピラミッドの尖っている部分だということが分かった。外からでは分からなかったが、ピラミッドは何かしらの影響で地面の中に埋まってしまったということなんだろうか。
「あ、ここから下りられそうですよ」
とおらふが下に続いていそうな階段を見つけてこちらへ手招きをする。すでに周囲を探索していたおんりーもひょこっと戻って来て、ぼんじゅうるは私の方を振り向く。