第21章 門前の戦い
「いけっ!」
その時、小さな叫び声が聞こえた。私は目を瞑ってしまったが、次にはドサリと音がして、恐る恐る目を開けた。
そこには、倒れている骨のモンスターがいた。何が起きたのか分からずに立ち尽くしている私の視界に、ふわりと浮かび上がる剣が映り込んで息を飲んだ。
「大丈夫?」
と駆けつけてきたのはぼんじゅうるだった。そこに浮かぶ剣をなんの気も止めることなく手に取って私の様子を伺ってくる。だけども私は、骨のモンスターやぼんじゅうるより、その手にある剣に釘付けだった。
「あ、の……さっきの剣は……?」
ようやく出た声。私がぼんじゅうるの顔を見上げると、彼はにこやかに微笑んだ。
「無事で良かったよ、ユメちゃん」
ぼんじゅうるはそれだけ言い、後ろから襲いかかって来た骨モンスターを迎え撃ちに走り去って行った。頭の整理がついていない私に、ドズルがハハッと笑いながらこう言った。
「ぼんさん、女の子の前だからカッコつけてますね」とドズルは言う。「ぼんさんの剣は、勝手に敵を倒すんですよ。あれが、勇者の剣です」
そうドズルが目で指した先でぼんじゅうるはあたかも逃げ回っているかのように見えるのに、確実に周りの敵を少しづつ倒している様子を見て私は心からカッコイイなと思った。彼がカッコつけていたとしても、勇者であることには間違いがないんだろう。少なくとも、戦いを前に何も出来ない私よりは、ずっと勇ましく素敵な人だ。
「国の警備隊が来たぞ!」
間もなく、門番の兵士が警備隊を引き連れて戻って来た。骨のモンスターたちは彼らのおかげで一斉に鎮圧され、平和な時間を取り戻した。