第20章 道場
私が言葉に詰まらせていると、割り込むように大声が飛んだ。振り向くと道場の出入口から、汗だくになって息を切らしている門下生の一人が立っていた。
「大変です! この国に向かって見たこともないモンスターがやって来ています!」
「見たこともないモンスター?!」
ドズルは目を見張り、ぼんじゅうるは顔をしかめた。一方のおんりーは、いたって冷静そうではあるが。
「今、門の前にたまたまいた旅人がそのモンスターを倒してくれていますが……兵の警備が間に合うかどうか……」
と門下生が言って私はハッとした。門の前にはおらふがいたはずだ。彼は大丈夫なのだろうか。
そう思ったのは私だけではなかったようだ。おんりーがぼんじゅうるの方へ視線を向ける。
「おらふくんですね、きっと」
「おらふくんなら大丈夫だろうけど……」
すると、そこにいたドズルが前に出て頷いた。
「行こう。おらふくんにだけ戦わせていたらきっと大変だろうから」
私も二人も誰も否定しなかった。私たちは道場を飛び出し、国の門へと急いだ。