第19章 砂漠の国
「それで、妖精さんが言っていた道場というのは……」
「おらふくんが言っていたのは、広場に出てあの道を曲がると言っていましたが……」
私は王国の地図を片手に前を歩くおんりーの後ろを歩き、さらに後ろではぼんじゅうるがついて来ていて興味深そうに辺りの街並みを眺めていた。
「ここ、どっかで見たことあるなぁ」
「ぼんじゅうる様はここが初めてなんですか?」
「そのはずなんだけどね」
と私とぼんじゅうるが話していると、国の広場にやって来た。広場の地面は王国の紋章が描かれたテラコッタで固められていて、子どもたちが何人か追いかけっこをして遊んでいるのが見えた。広場を囲うように店が開いていて、賑やかである。
そうして、おらふに聞いていたところの道へ向かうと、目立つ屋根が見えてきて目的地はそこだとすぐに分かった。その建物から同じ格好をした人が何度も出入りしており、皆筋骨隆々な男性ばかりだった。
「あれが道場でしょうか?」
道場を実際見るのは初めてだった。私が訊ねると、おんりーはとりあえず見に行ってみましょうと言った。
「ドズルさんが旅に一緒に来てくれるととても助かるので、ぜひ勧誘したいですね」
とおんりーが言うと、ぼんじゅうるは軽く笑った。
「引きずってでも連れて行く。ドズルさんくらい引きずっても大丈夫でしょ」
恐らく冗談だと思うが、ぼんじゅうるはそう言うのだ。それが信頼関係があるからこそ言えることなのだろうか。疎外感をずっと背負って生きてきた私には分からないことだった。
「とりあえず、入ってみますよ」
とおんりーに促され、私たちは道場に掛かっている赤い幕をくぐった。